第2章 🐾1
side降谷
4徹だというのにどうでもいい密猟者の逮捕という仕事が回ってきた。
何が嬉しくて1人でこの山のかを歩かないとダメなんだ。
そもそも、この山に密猟するほどの動物でもいるのだろうか。
足場が不安定な山道、そして俺は4徹。意識は朦朧としてて何度も転けそうになる。
今日は最悪だな。
この仕事が終わったら休みをもらうか。
しばらく歩くが、一向に密猟者らしき人物はいない。このまま帰るか?いや、受けた仕事はきっちりとやりきらねば。
だるい体に仕事への誇りやプライドが鞭を打つ。
すると開けた場所に出る。
こんなところにこんな場所があったのかと思うと同時に数メートル先に大型の狼がいた。成人男性を乗せて走ることができそうなほどの大きな狼が月明かりに照らされて幻想的な美しさを醸し出していた。
息を飲むと、その狼は森へと入ろうとしていた。
「この辺に男をみなかったか?!」
俺は慌てて狼に問いかけた。
狼はキョトンとしたような表情だったがその後遠吠えをした。
その遠吠えを聞いて俺はぼんやりしていた意識を覚醒させる。
今……俺は、狼に話しかけたのか?
4徹だとしてもこれは酷すぎる。
明日は何がなんでも休もう。そう誓った。
「動物相手に俺は何を言っているんだ。」
頭を抱えて別の道を探そうとすると、バイクの音が聞こえそちらに目をやると今日の仕事の標的が現れた。
「見つけたぞ!馬鹿な狼め!!」
バカはどっちだ。
密猟者は狼に気を取られているのかこちらに気づいていない。そして、麻酔銃を構えていることから、あの狼を密猟しようとしていることは瞬時に理解した。
男がトリガーを引く前に俺は拳銃を取り出し麻酔銃を撃った。
男は撃たれた反動でバイクから転げ落ちる。
「見つけたぞ!密猟者!」
俺は密猟者に駆け寄って手錠をかけた。
一部始終を見ていた狼は手錠をかけたのを見届けたあと森に姿を消した。
また会える。
そんな気がして声をかけるのはやめた。
風見に電話をして密猟者を捕まえたこと、すぐに迎えに来るように伝えた。
風見から密猟するような動物がいたか聞かれたが見ていないと答えた。
そうしなければいけないとおもった。