第1章 再会
ちょっと言い過ぎたかな。
確かに、いっちゃんの進路については知らないだろうと思って聞かなかったし。かっちゃんの性格だと聞かなければ言わないよね。
それに無個性でヒーローになるのは確かに難しいし、強い個性があっても死ぬような危ない世界だ。
個性のない人がヒーローになるなんて悪役の餌になりに行くようなものだし。
わかってるんだけど、なんかこう変に意地を張ってしまう。
でもな~ギクシャクしたままは嫌だし……。
気まずい空気を感じながらも遠くで大人しくしてるかっちゃんの所に行く。
『……あの、かっちゃん……』
「あ? もうすぐスタートだな。離れねぇように後ろからついて来い」
あのかっちゃんが、気まずくならないように気を使ってくれた。珍しい。
しかもかっちゃんが私の腕を掴んで歩き出した。
言いたいことは山程ある。
協力したらいけないんだよ、とか建物を壊したら駄目、とか。
でも今は止めておこう。
『行こう、かっちゃん』
かっちゃんの背中って、こんなに大きかったっけ……?