第1章 再会
私の言葉が合図だったかのようなタイミングで試験開始の合図の音が鳴った。
私の腕を掴んだまま、かっちゃんは走り出す。
そのかっちゃんの肩には、いつの間にか真白ちゃんが乗ってて風を感じるようにしっぽをゆっくりと揺らしてた。気持ちよさそう。
人の波で押しつぶされそうになるけどかっちゃんが腕を掴んでくれてるおかげで大丈夫そう。
「おい、じっとしてろよ」
そう言われると、かっちゃんが私を小脇に抱えてそのまま体が急上昇してく……!!
かっちゃんの爆風で飛んでいる時間が長くなると、どんどんニトロの汗の匂いが強くなってく。
なんだろう、他人の汗の匂いって普通は臭いはずなのに落ち着く。
少し空を飛ぶと目標が見えてきた。あれは、3点だ!
『かっちゃん、あそこに3点の敵が。他の人が狙ってるよ!』
「一気に畳み掛けるぞ!」
かっちゃんは肩に乗ってた真白ちゃんを持つと勢いよく振りかぶり……、3点の敵目掛けて投げた!!!
弾丸のように飛んでいく真白ちゃん。
そのまま狙ってた人がくる前に敵は爆破した。
『ねぇこれってどっちのポイントになるのかな?』
「お前のポイントだろ」
周りの人が驚いてその場に座り込んでいるけど、真白ちゃんは傷一つないと思う。その証拠にやっと残骸から抜け出た真白ちゃんは元気そうに手を振って迎えの合図をしてる。
それのそのはず。真白ちゃんの個性はパーフェクトシールド。ついでに言えば旧真白ちゃんが残した綿を使ったせいで個性まで引き継いでいる。
体を硬化させるのはもちろんだけど、エネルギーが切れるまでどんな攻撃も受けない最強の盾になるんだ。
その威力はかっちゃんとのトレーニングで実証済み。
『真白ちゃん』
地上に降ろしてもらうと、地面に座って両手を広げる。
『おいで!』
すると、目をキラキラと輝かせた真白ちゃんがとととーっと可愛い足音を立てて走ってくる!
思いっきり真白ちゃんを抱きしめると真白ちゃんがすりすり仕返してきた!可愛いなぁ、もう!
「…もう大丈夫だな」
『あ、行くの?』
「当たり前だ。俺はもっと稼いでNo1になる!」
なんだ、ずっと一緒にいると思ってたのに。
走り去っていくかっちゃんの背中を真白ちゃんと一緒に見送った。