第3章 お買い物なう
暫くして売り場コーナーに到着。
あまりの人の多さに専用コーナーが作られているみたいで、私達はそのままVRMMO体験コーナーに案内された。
すると、そこには見知った人が……。
「あれ、もしかして緑谷編集長のとこの雛ちゃん?」
『あー、お父さんの会社の森沢さん!』
「やっほ~、外回り中に会うなんて奇遇だねぇ!そういえばお父さんが落ちたのか受かったのか合否がないって心配してたよ~」
「雛、もしかして受かった報告はしてねェのか?」
あ、そういえば……。
お父さんのことをすっかり忘れてたなんて言えない……。
『お母さんが報告するからいいかなって』
笑って誤魔化せ!!
「あ、受かったんだ、おめでとう!!今商談が終わったからこれからお祝いしに行こうか!お友達も合格したんだろ?」
すると、いっちゃんの顔が暗くなっていく……。
あー……、かっちゃんが口を開く前に何か言わないと、何か!!
『この子は同じ雄英高校を受けたんですがまだ合否がきてないんです』
「あー、それはそうだよ。雄英高校は志望者が多いから今日合格通知があるのは模擬試験だけで合格できた人又はレスキューポイントの審査に通りやすい行動をした人限定さ!俺も受けたけど、模擬試験がそこそこでレスキューポイントもなくてね~、試験があった二日後に合否がきたなぁ」
森沢さんは、明るく笑いながらいっちゃんの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「はっ、レスキューポイント……!?そんなの知らねェぜ?」
『あー、試験中に誰かを助けるともらえるんですよね。私もたまたま倒れてた人を助けたら、がっつりもらってました』
「ナイスファイト!!だから合否をもらってない君も、落ちた通知がきてないなら希望を持とうね!!それに、駄目なら普通科から狙ってヒーローになった友人もいるし気を落とすなよ!」
親指をぐっと立てて合図してくれる森沢さん!
確かヒーローになったら使おうと思ってたんだっけ?
底抜けに明るくてなんでヒーローじゃないんだろって思うけど、こういう営業にも向いてるよね。
「あ、ありがとうございます……っ!!!」