第1章 再会
私が説明会場に行くと、皆まっすぐ席に向かってる。
仲のいい友達同士で座ってるけど、どこでもいいのかな?
とりあえず、かっちゃんを探そう。
「君、受験番号は?」
不意に後ろから声をかけられたから振り向くと、メガネをかけた真面目そうな男子が立ってる。
『えっと、3○5です』
「それなら向こうの席だな」
男の子が指を指した方向には一つだけ席が空いてた。どうやら受験番号で決まるみたいだね……。
かっちゃんと話したいけど、せっかくの好意だし帰りにしよう!
『ありがとう、優しいんだね』
笑ってお礼を言うと、相手のも笑い返してくれる。
「いや、それほどでもない。ヒーローを目指す者として当然のことをしたまでだ!」
ははは、と男の子は照れたように笑った。話しやすそうな人だなぁ。
「俺の名前は飯田天哉。君の名は?」
『私は、緑谷雛って言います』
「そうか。お互い合格ができるように頑張ろう!」
『はい、そうですね!』
硬く握手をして、席に向う。その途中で視線を感じたから反対側を見ると……、いっちゃんとかっちゃんだ! いいな~二人共横並びの席じゃん。
かる~く手を振ると、いっちゃんは気まずそうに手を振り返し、かっちゃんも手を振ってくれたけどいっちゃんと何かお喋りしてるみたい。
つんつん、と鞄の中にいる相棒からつつかれて気がついたけど、ほぼ席が埋まっている。
慌てて席に座ると私が最後だったみたいで室内が暗くなった。