第1章 再会
校門前に差し掛かった時。
見慣れた男の子と見知らぬ女の子が並んでいる。
「転んじゃったら縁起悪いもんね~」
ぽやぽやとした笑顔で笑う女の子はなんとも可愛い!
慌てふためいているのは、紛れもない緑谷出久!
私の幼馴染にしていとこのいっちゃん!!
声をかけようと手を上げた瞬間に、鞄の中から顔を出していた真白ちゃんが鞄を叩いた後、ゆっくり首を左右に振った。
おや……?
よくよく見ると、いっちゃんが顔を真赤にしてる!
おぉー?! 青春? アオハル!? いいねいいねぇ!
『邪魔をするのは野暮ってもんですねぇ、真白さんよ~』
真白ちゃんも、笑顔で頷いてくれる。
私はいっちゃんにバレないよう二人を通り越して歩いていく。
にしても、いっちゃんと再会するのは何年ぶりだろ?
私が引っ越していらいかも。
一応私といっちゃんはいとこだけど会う機会はそんなにないし、手紙のやり取りはしてたけどいっちゃんの個性が無個性だってわかったときからいっちゃんからの返事はなくなった。絶対避けられてた。
ずっと待ってたんだけどな。
逆にかっちゃんとはよく連絡を取ってるからいっちゃんが元気にしてるのは知ってたけどね。
あ、でもいっちゃんが受験するって教えてくれなかったなぁ。
絶対黙ってたでしょ、これ!
会場に行けばかっちゃんに会えるし、一言文句を言わないと!