第1章 再会
ぺちぺちぺち。
もふもふとした柔らかな物体から頬を叩かれて目が覚めた。
目の前には、ダックスフンドのような体型の真っ白な猫のぬいぐるみのドアップが。
『真白ちゃーん』
呼ぶと、真白ちゃんは数回瞬きをしてそそくさと部屋の外へと出てしまった。
……やっぱり、新しく作った真白ちゃんは『あの』真白ちゃんではない。
今の真白ちゃんを作ってかれこれ5年以上立ってるけど、今でも昔の面影を探してる。
今の真白ちゃんは空気で察するんだろう。そっけない態度で逃げてしまう。
悪い癖だなぁ。
背伸びをするとベッドから降りる。
今日は雄英高校ヒーロー科の入試試験の日。
そんな大切な日に相棒の機嫌を損ねてしまうなんて、失態だ。