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[ヒロアカ]それでも貴方は私の英雄です

第2章 新しい生活の前に


私の家はいっちゃん家の裏にあり、かっちゃんの家は私達の家の2つ先の通りにある。
と言っても住宅街だから案外近い方。

『昔さ、住宅地に住んでる子供達全員と遊んでたよね』

「あー、懐かしいな!でもひーちゃんは習い事が忙しくてあまり遊べなかったね。今でも頑張ってる?」

生まれた頃は別の地域に住んでた私だけど、引っ越してきた日にいっちゃんが皆を紹介してくれたから、皆と出会うことができた。
ここで暮らしてた思い出は辛いこともたくさんあったけど、大切な思い出ばかり。

『いや、止めちゃった。前々から止めたかったし、ヒーローになりたいって思ってたから丁度よかったよ』

「え、どうして?子供の頃はアイドルになるって……」

お母さんの夢はアイドルになること。
でもアイドルになっても売れないまま終わってしまい、夢は子供の私にバトンパスという名目で押し付けた。

小さい頃は、休みの日になったら皆が呼びにきてくれたから楽しかった。


でも、転校したら状況が変わった。
毎日ダンス、歌、ピアノ、バレエ、チア、水泳、日本舞踊、習字硬筆、演技等の様々な習い事に通ってた。
唯一遊べるのは日曜日だけ。
その唯一の日曜日も『普段は遊んでないから』という理由で遊んでくれる友達はいない。
学校内では一緒に行動する友達はいたけどそこまで仲良くない。
皆同じオンラインゲームをしてて、ゲームをする余裕がない私は仲間に入れてもらえない。

まぁ、そのぶん日曜日になったらかっちゃんと遊んでたけど。

『それは、お母さんが勝手に言ってたことだよ。オーディションに受けても失敗続きだったし、そもそも受かる気がないからこっそり抜け出してたなぁ』

アイドルはお母さんの夢であり、私の夢は……真白ちゃんが笑顔でいてくれること。
夢らしい夢は、まだない。
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