第2章 新しい生活の前に
あの河原からいっちゃんの家はすぐ近くにある。
私の家はちょっと離れた所にあるけど、歩いて十分くらいかな?
見えてきた、懐かしいなぁ。全然変わってないや。
『久々に来たよー。引っ越してから挨拶しに来ればよかったんだけど、忙しかったからねぇこっちも』
「そうなんだ、おじさんは元気にしてる?仕事が忙しそうだけど」
『うん、元気だよ~。お父さんの雑誌、週間ヒーロー大集合のカメラマンになりたいって持ち込みに来る有能な新人さんが多くって、そんなに忙しくないんだってさ』
そうそう、うちのお父さんの仕事はヒーローが戦ってる写真を載せた週刊雑誌。
「そうなんだ。ヒーロー特集雑誌とかグラビア関連が増えたからうちの母さんが心配してたよ」
『心配してくれてありがとうね!でも本当にやる気のある新人さんが増えて、企画がばんばん出てる証拠だからこれからも楽しみにしてよ!』
「うん、そう言っとくよ」
いっちゃんが鍵を開けて中に案内してくれる。
懐かしいなぁ。両親は共働きだからいっちゃんの家でお留守番してたっけ。
引っ越してからは向こうの友達と遊ぶようになったけど、何よりかっちゃんが頻繁に顔を出してたからなぁ。
家の中も昔と何も変わってない。
「僕の部屋で待ってて」
『はーい』