第1章 再会
「礼を言う助かった。でも試験はいいのかい?」
『うん、いいの。貴方を送った後にまた頑張るから』
「そうか、受かるといいな」
『うん!』
笑ってる紫色の髪の男の子の顔は、ちょっと寂しそうだった。
「その動物はお前の個性か?」
『あ、そうだよ。私の個性はドールクリエイター。生きたぬいぐるみを作ることができて、ぬいぐるみたちもそれぞれ個性を持つの』
「羨ましい個性だな……」
『そうでしょ! 可愛いもんねー?』
ねー?と真白ちゃんに向かって言うと、真白ちゃんも同調するように首を縦に振った。
その間も、相手の子が歩きやすいようにペースを合わせてゆっくり歩いてく。
通り過ぎる人は何人もいるけど、皆手をかそうともしない。
きっと、私が見つける前に何人もの人が通り抜けてったのかなって思ったらちょっと寂しい気持ちになった。
『そういえば、貴方の個性は?』
「お、俺の個性は……」
男の子の顔が暗くなった。
やばい、聞かれたくない個性なのかな?
『あ、無理に言わなくても……』
「いや、大丈夫だ。俺の個性は洗脳だよ」
洗脳、かぁ。
確かに言いたくない。
だって今回の試験じゃ無意味だしなぁ……。
『確かにちょっと使いにくい個性だね。でも対人戦なら有利だし気にすることはないって!』
笑いながら言うと、相手の子は驚いた表情になった。
「え、それだけなのか?」
『それだけって?』
よくわからずに首を傾げる。
真白ちゃんを見るけど首を左右に振って不思議そうに首を傾げてる。
「いや、ヒーローらしくないとか……」
『ダークヒーローっぽくてカッコイイと思うよ~。ね、真白ちゃん!』
真白ちゃんも、思いっきり縦に首を振ってる!なんか必死で可愛いなぁ、もう!
「そ、そう、か……?」
『そうそう! それに貴方が悪役だったら私の幼馴染なんて絶対ヒーローにはなれないよ!』
「幼馴染もこの学校に?」
「うん、そうだよ。二人いるんだけど、一人は頑張り屋さんでいかにもヒーロー!って感じの子で、もう一人も頑張り屋さんだけど虐めっ子だから悪役って感じの子。どっちもこの学校を目指してるの」
「俺みたいな個性でもなれるかな、ヒーローに……」
『なれるよ!ね?』
真白ちゃんが足元でガッツポーズをしてる!