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君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】

第6章 amabile


恐る恐る…いや、別に何も恐れちゃいないけど、緊張とも違う…けど、心臓が口から飛び出しそうな…、そんな感じだった。

ゆっくり視線を向けた先で、驚いたように見開いたデカい目と、俺の視線がぶつかった。

櫻井…さんがどうしてここに…?

俺が「もう一度会いたい」って、そう強く願ったから?

だとしたらこれって…運命ってやつ…なのか?

「えっと…、俺大分酔っ払ってる…のかな…、大野君の幻が見えるなんて…」

瞼を何度もパチパチと瞬かせながら、俺の顔を何度も角度を変えながら覗き込む。

俺幻なんかじゃないし、本物だし…

つか、俺どうしたら…

半ば救いを求めるように向けた視線の先で、雅紀さんと潤さんがポカンと口を開けて俺を見上げている。

「あの…さ、智? 知り合い…だったりする?」

雅紀さんに言われて、俺は首を縦に振って答える。

すると今度は潤さんが、テーブルを指でトントンと叩いて、

「まさかとは思うけど、櫻井の言ってた子って…、智のこと…?」

俺と櫻井さんを交互に見て、櫻井さんもまたその問い掛けに何度も首を縦に振って答えた。

その時点で俺の頭は混乱しまくってるのに、それに輪をかけるかのように潤さんが、

「じゃ、じゃあ、櫻井の一目惚れの相手って…、智のことだったの…?」

なんて言うもんだから、もう俺はどうして良いのか分からず…

空いた片手でポケットからメモ帳とペンを取り出すと、テーブルの上に広げたメモ帳にペンを走らせた。

その光景を、潤さんは不思議そうに見てるけど、それも無理はない。

だって潤さんは、ニノが死んで以来、俺が喋れなくなったことを知らないだろうから…

『どうして櫻井さんがここに? 潤さんと櫻井さんは知り合いなの?』

口で言えない代わりに、疑問を書いたメモ帳を、バンとテーブルの中央に広げた。

一斉にメモ帳に集中する視線。

でも俺だけは、ずっと櫻井さんを見つめていた。
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