君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第26章 番外編☆dolce
朝、裸のまま抱き合って目を覚ました俺達は、チェックアウト時間ギリギリにホテルを出ると、その足で雅紀さんのマンションへと向かった。
俺達が熱過ぎる時間を過ごしている間、何度も雅紀さんからメールが届いていて…
そのどれもが、俺達を心配する内容の物ばかりで…
それには流石の俺も申し訳なさを感じずにはいられなくて、翔さんに無理を言って予定を変更して貰うことにした。
翔さんがどんな予定を立てていたのかは知らないが、翔さんは快く受け入れてくれた。
…つか、責任の半分は翔さんにあるわけだしね?
翔さんもそれを分かってるから、一睡も出来ずひたすら気を揉んでいた雅紀さんと、寝起きで不機嫌全開を前に、土下座する勢いで頭を下げた。
その横で俺は、呆気にとられる二人に向かって、翔さんから貰ったリングを見せつけるように、左手をヒラヒラとさせた。
瞬間、雅紀さんの目から涙が零れて…
「え、何で雅紀さんが…」
泣くの?
言いかけた俺を、どこにそんな力があるんだろいってくらい華奢な腕が抱きしめた。
「良かったね…、良かった…」って…
何度も鼻を啜りながら、俺の背中を叩き続けた。
ホント…、力加減知らないんだから(笑)
でも、俺の幸せを自分のことのように喜んでくれる雅紀さんが、やっぱり俺にとっては本当の兄貴のような存在で…
「ねぇ、雅紀さん…。俺、ニノの分も幸せになっても良いのかな…」
「当たり前でしょ? そうじゃなかったら、俺も…それから和也も許さないよ?」
「ニノ…も…?」
「だからさ、無理する必要なんてないからさ、智は智らしく、櫻井さんと幸せになりな? ね?」
俺は俺らしく、か…
そうだよね…
どんな俺だって、俺は“俺”でしかないんだから…
こんな俺を愛してくれる翔さんと、俺達だけの幸せをこれから二人で見つけて行けば良いんだよね…
そうだよな、ニノ…?