君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第26章 番外編☆dolce
涙がとめどなく溢れて、止まらなかった。
必死で声を絞り出そうと藻掻きながら、声を上げて泣くことすら出来ずに…
ニノが死んだことを認めたくなくて、現実から逃げ出したい一心で心を閉ざし、結果声を失くしてしまったあの時のように…
『……なさい…』
『…め…なさい…』
『ごめ…なさい…』
俺は声にならない“声”で謝り続けた。
何度も何度も…、何度も…
目の前の景色が霞んで、意識が虚ろになるまで、ずっと…
きっと酷い顔をしてたんだと思う。
「智? おい、智?」
ユラユラと揺れ始めた俺の身体を、翔さんの腕が抱き止めた。
そして、きつく…、薄っぺらな俺の身体が潰れてしまうくらいにきつく抱きしめられると、翔さんが俺の肩口に顔を埋め、静かに肩を揺らした。
「ごめん…」と…
「責めてるんじゃない」と…
違うのに…
翔さんは何も悪くないのに…
悪いのは全部俺なのに…
俺が馬鹿だったから…
翔さんの優しさ甘えていたから…
だから悪いのは全部俺にのに…
どうして翔さんが謝るの?
俺は翔さんの背中に腕を回すことも出来ず、ただただ翔さんが勝負服だと言っていたお気に入りのワイシャツを濡らし続けた。
ろくに眠ってないせいもあってか、意識の糸がプチンと音を立てて切れるまで、ずっと…
どれくらい眠っていたんだろう…
目を覚ますと、そこには青ざめた顔で覗き込む翔さんの顔があって…
俺が手を伸ばすと、翔さんが両手で俺の手を包み、血の気を失くした頬に押し当てた。
「ごめんな…」と、繰り返し呟きながら…
俺はその度に、首を横に振り続け、自然と熱くなる目頭を手の甲で覆いながら…