第26章 番外編☆dolce

俯いてしまった俺の肩を、翔さんがそっと抱き寄せる。

｢分かってるから、ちゃんと。それに、ついつい世話を焼いてしまうのは、智が頼りないからとか、心配だからとかじゃくて、なんて言ったら良いのかな…｣

翔さんが耳まで赤くした顔で俺を覗き込む。

｢好き過ぎて…、だからつい過保護になってしまうと言うか、何と言うか…｣

｢過保護ね…、まあ多少度を超えてるような気はするけど、俺もその気持ちは分かんなくもないかな…｣

潤さんがニヤケ顔を引き締め、隣に座る雅紀さんの手を握る。

雅紀さんは咄嗟のことに戸惑いの表情を浮かべたけど、直ぐに茹で蛸みたいに顔を赤くして…

｢も、もう…、何言ってんの？ バカ…｣

そう言って、潤さんの脇腹に肘鉄を一発食らわした。

それも結構な破壊力のをね？

当然、クリティカルヒットを受けた潤さんは、低い呻き声を上げたかと思うと、脇腹を押さえて背中を丸めた。

その姿に、内心“ざまーみろ”と舌を出したいところだったけど、八つ当たりされるのはゴメンだから、止めておいた。

｢あ、そう言えばさ、智まだあのアパート住んでるんだっけ？｣

｢え、ああ…、うん…｣

一瞬…、嫌ーな予感がした。

そしてその予感は、

｢そうそう、櫻井のマンションのすぐ下の、ボロいアパートな｣

潤さんの余計な一言で見事的中した。

｢え、すぐ下のアパートって…、俺の部屋からも見える、あの…？｣

頭の上に？マークを浮かべた翔さんが、俺と潤さんの顔を交互に見る。

｢えっと、それはその…｣

俺は咄嗟に誤魔化そうとするけど、

｢え、もしかして櫻井…、知らなかったとか？｣

結局潤さんの余計な二言目に遮られてしまう。