君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第26章 番外編☆dolce
二人には…
特に潤さんには絶対見せたくないと思っていた姿を見られて…
雅紀さんが作ってくれたチャーハンで腹が満たされてからも、気まずくて仕方なかった。
なのにそんなこと露とも知らない翔さんは、
「ほら、口の横…、米粒ついてる…」
って指で摘んだ米粒を自分の口に入れるし…
口の中いっぱいにチャーハンを頬張った結果、喉に詰まらせそうになった俺に、
「ああ、だからそんなに一気に掻き込むから…。ほら、お茶飲んで…」
そう言って湯呑みを差し出すどころか、俺の口元まで運ぶし…
とにかく、あれやこれやと世話を焼き通しで…
普段なら当たり前に、翔さんが俺にしてくれることでも、雅紀さんや潤さんの前で…ってのは、やっぱり気恥しさがあって…
「い、いいから…。俺、自分で出来るから…」
俺の口元を拭こうとする翔さんの手から、タオルを奪い取った。
「智、大事にされてるんだね?」
雅紀さんが目尻にたっぷり刻んで優しく笑う。
でもその横で、
「それは違うな…。ただ単純に智が櫻井に甘えてるだけだよな? そうだろ、智?」
潤さんがフンとばかりに鼻を鳴らした。
「べ、別に俺は…甘えてなんか…」
いない…、とはとても言えないか…
現に翔さんがいなかったら…って考えると、多分俺はこうして生きてることすら出来なかっただろうし…
翔さんがいるから…
ずっと俺の傍で見守っていてくれるから…
だから、俺は今でもこうして生きていられる。
それが潤さんの言う“甘えてる”ってことなら、もしかしたらそうなのかもしれないけど…
「だ…から、感謝してるよ…。迷惑ばっかかけて、悪いな…って、ちゃんと思ってるよ…」
嘘じゃない。
俺はいつだって翔さんに…