君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第26章 番外編☆dolce
「こら…、そんな格好で寝てたら風邪引くぞ?」
フワリ…、と俺の肩に何かがかけられる。
あれ…、この匂いって…
俺は匂いの正体を鼻先まで引き寄せると、瞼を閉じたままクンの匂いを嗅いだ。
やっぱりだ…
この、ザ・男な匂いは…
「翔…さん…、え、何…で…?」
瞼を擦りながら、引き寄せられるままに胸に身体を預けた俺に、翔さんはクスリと笑って髪を撫でてくれる。
いつも俺が寝起きの時にするのと同じように…
「遅くなるんじゃなかったの?」
だって、寝る前に見たメールでは、会議が長引きそうだからって…
「ああ…、うん…、あれさ…、俺じゃないんだよね…」
へ?
「あのメールさ、松本の仕業なんだ。いや、俺はよせって言ったよ? でも松本の奴が勝手にさ…」
ごめん、と瞼を伏せて謝る翔さんに、俺はそっと手を伸ばすと、小さく首を横に振って“気にしてないよ”と答える。
その時、不意に俺の視界に、こんもりと盛られたチャーハンが飛び込ん出来て…
そう言えば俺…
雅紀さんに飯作って貰ってる最中に…
ハッとして周りを見回すと、そこにはニヤニヤクスクスと肩を寄せ合って笑う、雅紀さんと潤さんの姿があって…
「えっ…、何で!」
俺は自分の顔が火がついたように熱くなるのを感じて、咄嗟に翔さんの胸を押し退けた。
でもその時にはもう遅くて…
「ふーん、智がね…、ふーん、櫻井の前ではそんな顔すんだね?」
俺のために雅紀さんが作ってくれたチャーハンをスプーンで掬い、口に運んだ潤さんが、俺を揶揄うように笑うから、
「う、うるせぇ…。つか、それ俺んだし…」
潤さんの手から強引にスプーンを奪い取った。