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君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】

第24章 tempestoso…


多分俺…、すっごい間抜けな顔してたんだと思う。

翔さんが俺のダウンを肩から落としながら、俺の顔を見てはクスクスと肩を揺らす。

「だから、俺は病気でもなんでもないの。分かった?」

「で、でも…」

どんなに説明されても、やっぱり俺は納得出来なくて…

だって不安なんだ…、また大切な人を失うかもしれない、って…

翔さんは“ただの熱”だって言うけど、もしかしたら…って考えると、不安で不安…いたたまれなくなる。

「本当に大丈夫なの? 病院は? 行った?」

「行ってないよ。でも本当に大丈夫だから…。なんなら確かめてみる?」

「えっ…?」

首を傾げる俺の前で、翔さんがダウンを脱ぎ、セーターだけになった胸に俺を引き込んだ。

ドクドク…と、心臓が脈打っているのが、セーター一枚挟んだ翔さんの胸から伝わってくる。

「どう? これでもまた俺を病人扱いする?」

まるでしがみ付くように翔さんの胸に顔を埋める俺の髪を、翔さんが何度も優しく撫でてくれる。

たったそれだけのことで不安は消えて行く…んだけど、それだけじゃ全然足りなくて…

「分かんない…。だからもっと俺を安心させてよ…」

「えっ…?」

「本当に病気じゃないか、ちゃんと確かめさせて?」

言いながら、翔さんをそっとソファの上に押し倒す。

当然、翔さんは動揺を隠せない様子で…

「ちょ…、さ、智…っ…?」

馬乗りになった俺を押し退けようと、俺の両手を掴んだ。

そしてフッと息を吐き出すと、掴んだ俺の両手を凄い力で引っ張るから…

「え、うわっ…」

俺達はギュッと抱き合ったまま、ソファの上から床へと転げ落ちた。

「いっ…て…」

「智が悪いんだよ? 大丈夫って言ってんのに、全然信じてくれないから…」

「だって…」

不安なんだ…、また置いていかれるのが…

「信じさせて上げるよ…。智が“もういい”って言うまで…」

えっ…、ええっ…!?
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