君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第24章 tempestoso…
突然身体がフワリと浮き上がって、俺は慌てて翔さんの首に腕を回した。
「きゅ、急にこんなの…、ビックリするじゃんか…」
しかも姫抱きとか…、前にもされたような気がするけど、こんな恥ずかしいことってそうそうないんだから…
「くく、でもこれで分かっただろ? 俺が病気なんかじゃない、って…。つか、智、軽過ぎ。ちゃんと飯食ってる?」
「く、食ってるよ…」
「本当に?」
「本当だよ…、ちゃんと食ってるってば…」
そりゃ、忙しい時とか…たまに抜いちゃう時もあるけど、基本飲食店勤務だから食うことには困らない。
「確かめても良い?」
以前のマンションにあった物よりも、一回り小さくなったベッドに俺をゆっくり下ろしながら、仄かに熱を帯びた視線で翔さんが俺を見下ろす。
「い、いいけど…」
どうやって…?
聞き返す間もなく、翔さんの唇が俺の口を塞いだ。
咄嗟のことに息を吸うことすら出来なかった俺は、翔さんのセーターをキツく掴むけど、翔さんは気にすることなく俺の唇を吸い…
「ふ…ぁ…っ… 」
漸く短い呼吸が出来たと思ったら舌を捩じ込まれ、俺の口の中を容赦なく舐め回した。
流石にこのままじゃ窒息する…、そう思った俺は、セーターを掴んだ手で翔さんの胸をトンと叩いた。
「ちゃんと息して?」
俺が息をしていない事に気付いたのか、翔さんが俺の鼻を指で弾いた。
あ、そっか…
口で出来なきゃ鼻ですれば良いんだ…
…って、そんなことにも気付かない程、翔さんとのキスに夢中になって…たんだろうな…
その証拠に、俺の下半身はじんわりと熱くなっていて…
でもキス一つで…って思われるのが恥ずかしくて、俺は翔さんに見えないように膝と膝を擦り合わせた。
そんなことしたって無駄なのにさ…
俺の頬をスッと滑るように撫でた翔さんの手が、セーターを着込んだ脇腹を通って、中心へと辿り着いた瞬間、
「あっ…、んっ…」
自分の口から漏れた甘い声に、咄嗟に両手で口を塞いだ。