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君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】

第22章 subito


「翔さんに…、翔さんに会いたい…」

口にしちゃいけないって…

俺がその言葉を口にすれば、潤さんや雅紀さんを困らせることになる…、そう思ってずっと胸の奥に仕舞い込んでいた言葉を口にする。

でも潤さんは静かに首を横に振って、「それは出来ない…」とだけ呟くと、俺の腕を掴んだ。

俺は咄嗟にその手を振り払い、逆に潤さんのコートの襟を泥だらけの手で掴むと、

「何で…! どうして会っちゃいけないの? ねぇ、翔さんに会わせてよ…」

俺よりも一回り大きい潤さんの身体を乱暴に揺さぶった。

「翔さんの所に連れてってよ…、ねぇ…」

雨なのか、それとも涙なのか…、頬を濡らして懇願する俺に、潤さんはやっぱり首を横に振るばかりで…

とうとうその場に泣き崩れた俺を、潤さんの腕が抱きとめる。

そして濡れたコートで俺を包み込み、

「ごめん…、櫻井との約束だから…」

雨音に掻き消されてしまいそうな小さな声で言うと、 俺の頬を自分の胸に押し付けた。

「翔さん…との…?」

聞き返した俺に、潤さんが言葉で答える代わりに頷きを返す。

「どんな…?」

聞いたってきっと答えてくれないってことは分かっていた。

二人の間には、俺や雅紀さんでも立ち入ることの出来ない、強い絆があるんだ…って、前に翔さんが言ってたことがある。

だから翔さんと交わした約束は、たとえ何があろうとも、潤さんが破ることはないだろうって…

それでも俺は知りたくて…

「頼むから…、翔さんに会わせてよ…。翔さんに…会いたい…」

潤さんの胸に顔を埋め、呪文のように同じ言葉を繰り返した。

その度に潤さんは、俺の背中を撫でながら、「ごめん…」と謝り続けた。

何度も、何度も…


俺が泣き疲れて眠るまで、何度も何度も…
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