君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第20章 delicato
でも、どれだけニノが雅紀さんを愛しても、雅紀さんがその愛を受け入れることはなかった。
辛かったよな…?
苦しかったよな…?
どんなに強く想っても…
たとえ想いを伝えられたとしても、相手に受け入れて貰えなかったら、それはただ苦しいだけの想いで終わってしまうことがある。
きっとニノもその苦しいだけの想いから逃れたくて…、だから自ら命を…
でもさ、ニノ…?
お前が望んだ愛の形とは…大分違うかもしんないけどさ、弟以上の存在にはなれなかったかもしんないけどさ、雅紀さんは確かにお前のこと愛してたよ…
だってその証拠に…
「俺さ、兄弟のいる生活ってのに憧れてはいたけどさ、実際弟が出来たと思ったら和也のあの性格だろ? もうどう接して良いのか分かんなくてさ…(笑)
でもさ…、そんな愛想もないし、ゲームばっかしてるしさ、口を開けば憎まれ口はっか叩く弟だったけど、凄く可愛く思えたんだよな…」
ニノのことを語る雅紀さんは、とても嬉しそうな顔をしてる。
そう…、今まで見たこともないような、幸せそうな顔をして…
でもそれもほんの一瞬で…
「俺はそんな和也に嫉妬してたけどね…」
いつの間に帰って来たのか、突然した潤さんの声に、俺も雅紀さんも咄嗟に視線を部屋の入口に向けた。
「潤…、今日は櫻井さんの所に泊まるって…」
言いかけたところで、雅紀さんがシマッタといった楊子で口を手で塞いだ。
っていうか、俺に潤さんの行き先を言いたがらない時点で、大体予想はしてたけどね?
「うん、そのつもりだったんだけどね…。櫻井の奴色々あって、今日は一人になりたいって言うから…」
翔さんに何かあったの…?
聞きたい言葉が、喉まで出かかっては、飲み込まれて行く…
俺が気にしたところで、俺にはもう関わりのないことなのに…
「そっか…。っていうか、嫉妬って…? 潤がどうして和也に嫉妬なんて…」
雅紀さんが身体を起こし、ベッドの端に腰をかけたその横に、潤さんが腰をかける。