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君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】

第15章 diminish


「実はその…」

言いかけた時だった、潤の背後が急に騒々しくなって…

「お前どこにいんの?」

聞かなくたって大体の想像はつく。

週末だし、どうせドラッグクイーンの連中とパーティーの歳中だろう。

と、なると当然酒も入ってるだろうし、何よりこのテンションの高さだ。

まともな話が出来る状態にないのは明確。

それに俺自身も、とても冷静な話が出来る自信がない。

「悪いがその話はまた今度にしてくれないか?」

「え〜、なんでぇ〜、いいじゃん? どうせラブラブだったんでしょ?」

ラブラブ…か…

本当にそうだったらどんなにか幸せなんだろう…

俺はさっきよりも更に深い溜息を落とすと、

「悪いけど、今ちょっと出先だから…」

早々に電話を切るべく、そっとスマホを耳から遠ざけた。

その時、

「何か…あった?」

急に真面目な声が聞こえて、咄嗟にスマホを耳に当てた。

「つか、今どこよ…」

俺が松本に投げかけた質問を、今度は松本が俺にする。

「今から行くから…。どこ?」

「え、ちょっと待て…、今からって…、無理だよ…」

それに酒だって入ってるだろうに…

「無理とかじゃなくて、今どこにいんのか聞いてんの」

「だ、だから…また今度ゆっくり話すからさ、だから…」

「いいから、どこ?」

勘の鋭い松本のことだから、きっともう何かを察知してるんだろうな…

「分かった…」

仕方ない…

滅多に聞くことのない松本の低い声に圧されるように、俺は渋々…本当に渋々居酒屋の場所を告げ、電話を切った。

「こりゃ一発や二発は殴られる覚悟しといた方が良さそうだな…」

やれやれとばかりに苦笑し、店内に戻った俺は、残っていた肉じゃがを平らげ、追加で生ビールをオーダーした。

とても素面の状態では居られないと思った。

もっとも…、どれだけ濃い酒を飲もうと、仮に浴びる程の酒を飲もうと、今の俺は酔うことも出来ないだろうけど…
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