• テキストサイズ

君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】

第14章 dolore


ポタポタと落ちる涙を拭おうと、伸ばした手を翔さんが掴む。

『笑って…?』

俺も笑うから、だから翔さんも笑って?

だって、今のこの幸せを悲しい記憶にだけはしたくないから…

『ね…、笑って…?』

きっと俺だってぐっちゃぐちゃの顔してる。

それでも無理矢理笑みを浮かべると、翔さんがコクリと頷いて、掴んだ俺の手を翔さんの頬へと導いた。

「そうだね…、こんなに幸せなのに、泣いたりしたら、せっかくの幸せが逃げちゃうね」

『うん、そうだよ?』

こんな時間はもう二度とないんだから…

泣いたりしたら勿体ないよ。

「じゃあ…、もっと幸せな気分にさせて貰おうかな?」

『えっ…?』

首を傾げる俺に、翔さんがキザっぽくウィンクをして、俺の両足を抱え直し…

『あっ…』

満タンだった俺の中に僅かな隙間が出来たかと思った瞬間、

『えっ…、あっ…、あぁっ…!』

いきなり深い所を突かれて俺の身体が跳ね上がった。

それは何度も何度も繰り返され…

決して気持ち良さなんて感じない…、寧ろ違和感だらけなのに、零れる吐息が止められなくて…

俺の声が戻るのを心待ちにしていた翔さんは怒るかもしれないけと、声が出なくて良かったと思ってしまう。

だって、こういう時の声って、きっと自分でも赤面してしまいそうな声に決まってる。

そんなの…恥ずかしいよ…

『気持ち…いい…?』

「ああ…、凄く気持ち良いよ…。さと…しは…? 智も気持ち良い?」

聞かれたって、何が気持ち良くて、何が気持ち良くないかなんて分かんない。

唯一分かるのは、

翔さんの中心が俺の中を行き来する度…
翔さんに突き上げられる度…

身体の奥が熱くなって…

圧迫される感覚に息だって乱れで、凄く苦しいのに、でもそれはとても幸せな苦しみで…

『もっと…』

もっと沢山翔さんをちょうだい?

俺はキスを強請るように、翔さんに向かって両手を伸ばした。
/ 364ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp