• テキストサイズ

君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】

第2章 calando…


ニノと出会ったのは、高校二年の頃。

俺達は出会ってすぐに意気投合した。

滅多な事じゃ他人に心を開いたりしない俺が、ニノにだけはすんなり心を開けたのには理由がある。

ニノを一目見た瞬間、ニノが俺と同じ種類の人間だ、ってすぐに気付いた。

ただの勘じゃなくて、ニノが纏ってる空気感が俺にそう思わせたんだと思う。

最初に声をかけたのは俺の方。

「俺と付き合わない?」って…

今思えば、ニノに特別な感情なんて持ってなかったのに、俺も随分思い切ったことしたなって思うけど、俺達みたいな種類の人間は、そう簡単に同じ種類の人間と出会えるわけじゃないし、仮に出会えたとしても、やっぱお互い“性癖”ってのは違うモンだから、必ずしも上手く行くとは限らない。

ま、その辺は普通…男女のカップルだって同じなんだろうけど、同性ってのは更にハードルが高い…つーかさ…

だから尚更、ニノが俺を受け入れてくれた時は、驚きもしたけど、嬉しさの方が大きくて…

そんな風に誰かに受け入れて貰ったの…、初めてだったから…

当然、ニノもそうだと思ってた。

でも違ったんだ。

ニノにはずっと前から好きな人がいて、でもその人はニノをそういう風には見ていなくて…っていうか、たとえ血は繋がってなくても、戸籍上は“兄弟”だから…

そう、俺はその人の身代わり…だったんだ。

その事を知った時、正直言えば、俺自身そう驚きもしなかったし、裏切られてたってことに腹を立てたりもしなかった。

寧ろ、それでもいいって思ってた。

報われることのない想いを胸に抱えてる程、辛くて苦しいモンはないってことを、俺自身が嫌って程知っていたから…

だから俺は、俺を受け入れてくれたニノの、ありのままを受け入れることにしたんだ。

それが結果、ニノを…そして俺自身を苦しめる事になるのを知っていながらね。
/ 364ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp