自殺したら龍王の巫女(女)に転生しちゃったんだけど・・・
第3章 龍王の娘としての1日(体験編)
セレンと俺がドラグノスに呼び出されて早数分が経過…
そう言えば、さっきからドラグノスは俺の顔を見る割に触ろうとしないな。
1ヶ月前、鱗で痛がったのを気にしてるのか?
でも何か触りたそう…よし、こっちからアプローチしてみよう。
「あぁ…あぁ…」
「ん?娘よ、どうした。」
「龍王様に抱かれたいのではないでしょうか。」
ナイス!セレン!ほら、俺は怖がってねえからさ。
「いや…しかし…以前のように鱗で痛がってしまうかもしれん…」
デカい図体してるくせに小心者かっ!漫画やアニメじゃドラゴンって言ったら人間見下すような図体と比例して態度もデカい生き物だろうがっ!
そのドラゴンの長たるお前が何で自分の子供抱くことにそんなビビってんだよ!
仕方ねぇ…さっきセレンにもやった必殺…
「うっ…ぐずっ…うあぁっ…ひあぁっ…」
泣き落とし!!どうだぁ…?
「あぁっ、娘よ。なぜ泣くのだっ、泣くなっ。あぁ、どうすれば良いのだっ。」
おぉ、効いてる効いてる。ほらぁ、早く抱っこしろよぉ、もっと泣くぞぉ?
「龍王様、落ち着いてくださいませ。さぁ、私のようにフィーシャ様を優しく抱き上げてください。」
「こ…こうだろうか…」
お…おぉ、結構ゴツい腕だけど…すっぽりはまる感じ悪くないカモ。
「おぉ、泣き止んだぞ。」
「良かったですね、フィーシャ様。」
「あぅぅっ。」
「愛らしいな。我が子として産まれてくれたこと誇りに思うぞ。娘よ。」
ドラグノスの鼻先が俺のおでこに触れる。
きゃっきゃっとはしゃぐ俺、そんな俺を穏やかに見つめるドラグノスとセレン。
でもすぐに二人は悲しそうな顔で俺を見つめる。
なぁ、なんでそんな顔するんだよ。なぁ、教えてくれよ。
「すまない、娘よ。時が来れば必ず話すと約束する。そなたの…母のことを。」
お母さん?そういえばセレンも今は会えないって言ってたな…
言葉を話せないから何も聞けない。でも、何となく今は聞いちゃいけない気がする。
「あぁぃ…」
分かったよ、今は聞かねえ。だから、そんな顔するなよ。
ドラグノスの鼻先を小さな手で触れる。ドラグノスは少し表情を緩め俺のほっぺにキスをした。
まるで俺の考えが読めたかのように。