自殺したら龍王の巫女(女)に転生しちゃったんだけど・・・
第3章 龍王の娘としての1日(体験編)
俺は16歳のDT高校男子“龍塚 吉郎”から龍王の娘“フィーシャ”に転生した。
ちなみに、フィーシャはあだ名で本名はフィラルシェーラ。
舌噛みそうな名前だけど、“星龍”って意味がこめられているらしい。
さっき、“セレン”って言うメイド?みたいな女の人が教えてくれた。
セレンは親父、ドラグノスの命令で俺の世話係になった。
時が経つのは早いもんで俺がこの世界に転生してから早くも1ヶ月経った。
しかし、今の俺は生まれたばかりの赤ん坊なんだよな。
うまく体を動かせない。うぅ、頭では分かっているのにぃ!!
改めて考えれば、赤ん坊って言葉を話せないから泣いたり怒ったりして言いたい事を精一杯伝えようとしてるんだな…
よし、恥ずかしいけど今の俺は赤ん坊なんだ。ちょっとやってみよ…
「うぅ…あぁっ…ぐすっ、あぁぁっ」
「あらあら、フィーシャ様。どうされました?」
あ、抱っこしてくれた。セレン、あったかいし柔らかい。
DTだっただけに少し思考がエロ親父並だけど…今の俺は赤ん坊だ!甘えてなんぼだ!!
「あぶぅ、うぅ。」
「ふふ、抱っこしてほしかったのですね。甘えん坊さんですね。」
へへ、ドラゴンの娘に転生して、クソ人生第二弾って感じしたけど結構悪くないかも…
「本来であればお母上に甘えたいでしょうに…」
あぁ、そうか。当たり前だけど俺を産んだ母親がいるんだよな。どんな人だろ…
セレンは知ってるのかな…
「今はお会いできませんが、いつかお会いできるようになります。どうかご辛抱を…」
ちょっと悲しそうに笑っているセレン、なんでそんな顔するんだ?
今はお母さんに会っちゃいけないのか…ドラグノスにお願いしてもダメなのかな…まぁ、言葉が話せないからお願いすら出来ねえけど…
ガチャ…
「セレン様、龍王様がお呼びです。巫女姫様もご一緒にとのことです。」
「分かりました。では、フィーシャ様。お父上様のところへ参りましょう。」
親父の所か。会うのは2回目だな。
ガチャ…
「龍王様、セレンでございます。」
「おぉ、来たか。お前の顔を見るのは2度目だな。娘よ。少し見ぬ間に育ったか?」
たった1ヶ月でそこまでデカくはならねえよ、親父殿。