第1章 たぶんそいつら全員幽霊
さて、ここからは余談だが、霊感というのは私のように生まれた時から強い人もいれば、後から少しずつ強くなったりする人もいるらしい。霊的な力に触れ続けていたりすると、影響を受けやすい人はある日突然幽霊が視えるようになったりするのは、結構よくあるのだとか。
ただ、本当に全く影響を受けない人もいて、毎週殺人事件に巻き込まれてるけど全然幽霊とか視えねーよバーローって人も勿論いる。
まあこの米花町に住んでる人は自分じゃ気づいていないかもしれないが、実際に幽霊が視えるようになった人は数人くらいはいるだろう。なんたって幽霊のオンパレードだから。霊的な力に満ち溢れたパワースポットだから。
幽霊が視えるようになったのに気づかないなんてことある? と思うかもしれない。けれど、幽霊というのは、意外とはっきり視えるものだ。
勿論その人の持つ霊感の強さによって変わりはするが、私のように生きた人間と見間違える程にはっきり視える人だって必ずいるだろう。
そんな人達に言おう。
空中に浮かぶ女の人だとか、踏切の前でずっと佇む女子高生とか、ビルの屋上から何度も何度も飛び降りるスーツ姿の男の人とか、そういう変なのを視たら。
たぶんそいつら全員幽霊。
――『墓標に水やり』