第2章 トキメキ
楽屋では俺はいつも通りの定位置で新聞を片手に気になるニュースをスマホでさらに詳しく調べてた
智くんは釣り雑誌を見て、その隣ではニノがゲームしてる
そして…、さっきまでコンサートの話し合いをしていた2人は近い近いと思っていた距離のまま、最近はまっている服のブランドの話をしていた
チクン
胸が痛くなる。
おしゃれな2人の会話に入っていけるわけでもなく、この胸の痛みにどう名前を付けていいのか考えていた
遠い昔、それこそ幼稚舎の時に味わった淡い記憶
男同士なのに?
15年も同じグループでメンバーとして一緒にいたのに?
いや、これはこの前の収録をまだ引きづってるんだ
そんなのありえない
アリエナイ
「……ちゃん?翔ちゃん?」
「あ、うん?」
「そろそろスタンバイだってよ〜。めずらしいね、翔ちゃんがボーっとしてるの。
あっ!この前と反対だね。あひゃひゃ」
「ごめんごめん。すぐいく」
トリップした意識が戻っていく
視線の先には、楽しそうにニノと肩を組んでいる姿
ニノはちょっと迷惑そうにしてるけど、表情は笑顔だ
ズキン
また大きく胸が痛んだ
さっきまで全力で否定していたものが、肯定にベクトルを変えグイグイ進んでいく
好きなのか…
俺はアイツを…