• テキストサイズ

【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第25章 王都の舞踏会


「そりゃあ、わかるさ。夜会でドレスなんざ嫌ってほど見てきたからな。ディオールでもピンキリでよ、なかでもベルナールの右腕のエステルが縫ったドレスとなれば、おいそれとは手に入らねぇぜ?」

「あの…。でもこれ、時間がなくてセミオーダーだったんです。だからデザインは決まっていて。エステルさんが縫ったとか、どうして…?」

「ハッ、デザインはすべてベルナールが考えてんだ。オレが見てんのはそこじゃねぇよ。仕立ての部分だ。それとアレンジだな。あんた、ドレスのことなんか何もわかっちゃいなさそうだし、アレンジとか全部エステルに任せただろ?」

“あんた、ドレスのことなんか何もわかっちゃいなさそうだし” などと何気に小馬鹿にされた気もしないでもないが、なぜだろう? 言い方の問題だろうか、腹は立たない。

「そうですね、全部エステルさんにお任せしました」

「だろ? この袖の…」

給仕は、ぴしっと指さした。

「透け感のあるレースのパフスリーブは、エステルの好きなアレンジなんだよ」

まるでこの給仕がベルナール・ディオールではないのかと思うくらいに詳しくて。

「……よくご存知なんですね…」

「まぁな。ドレスは腐るほど見てきたからな。でよ、エステルは針子は引退したはずだし、すげぇレアだぜ? そのドレス。伯爵のやつ、よっぽど金をつぎこんだんだな」

「……伯爵のやつ…?」

……給仕さんがいくら私に気を許して敬語を使わなくなったとしても、雇い主である伯爵のことを “やつ” だなんて…。いくらなんでも奔放すぎやしないかしら?

怪訝そうなマヤの声、疑うような視線。

給仕は “あぁ…” と気づいて、あっさりと白状した。

「オレ、ここの給仕じゃねぇんだ。臨時で入ってるだけ」


/ 1869ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp