第25章 王都の舞踏会
「マヤって勉強熱心だよね。私だったら初めて乗るからって図書室で調べようなんて思いつきもしないもの。そんな時間があるなら寝ていたいかも」
とペトラが言えば、先ほどやられた仕返しにオルオが馬鹿にした口調でからかった。
「ペトラの場合は、寝なくて図書室で調べものをしたところで、本を読んだ途端に眠っちまうんじゃねぇの?」
「なんですって!」
いがみ合う二人にマヤは “まぁまぁ” と間に入った。
「私だってそんな勉強熱心だなんて褒められたものじゃなくって、昨日は執務のお手伝いが両方なかったから時間を持て余しちゃって…。それでだよ?」
「そうなんだ。なんで執務の手伝い、なくなったの?」
「よくわからないけど、多分… 今日に備えてゆっくりしろってことかな? 王都に行かないミケ分隊長もなんか忙しそうにしてたし。だから余計にお手伝いをしたかったんだけどね」
「へぇ…。まぁペトラが指名されたのが前代未聞らしいし、それで対策とかしてんじゃね? よくわかんねぇけど」
オルオがまた “よくわからない” と言ったので、すかさずマヤが突っこんだ。
「よくわからないんだ」
「そりゃよくわからんだろ。マヤ、わかんの?」
「ううん、ちっともわからない」
「だろ?」
「だね!」
マヤとオルオは笑い合った。
その様子をはたで見ていたペトラが怒鳴る。
「ちょっと! なんか息がぴったりじゃない?」
「え?」
マヤがペトラの顔を見れば、明らかに機嫌が悪い。
「あっ、そんなんじゃないよ?」
慌ててマヤは弁解したが、オルオは挑発した。
「なんだよ、ペトラ? 妬いてんのか?」
「はぁ!? そんな訳ないでしょ! 誰がオルオなんかに!」
「そんな言い方はねぇだろ!?」
二人の雲行きが怪しくなってきたので、マヤは話題を変えた。