第24章 恋バナ
「……買い物はペトラに甘いものを買う約束をしていたから、バウムクーヘンを買っただけです。そのあと丘にのぼって景色を見ました」
「いいねぇ! 二人で景色を眺める…。いかにもデートだねぇ!」
ひやかすようにハンジが言えば、ナナバも同意する。
「確かにデートの定番かもね」
ニファはペトラに訊く。
「兵長って意外とロマンチスト? 普段もそうなの?」
「いえ、別にそんなことないですけど? まぁ私は訓練のときしか知らないけど…」
ハンジにナナバ、ニファとペトラは、にやにやしながらマヤを取り囲んだ。
「景色を見るだけで終わるはずがないね? 肉体的接触は当然あるよねぇ?」
ナナバがすかさず指摘する。
「ハンジさん、その言い方… いやらしいから! せめてスキンシップと言って」
「え~、どんな言い方でも同じだろ! まぁいいや。マヤ、スキンシップ事情を報告したまえ。さすがにキスはいきなりないだろうが、抱き合うくらいはあったんじゃないかい?」
「まさか! そんなこと全然ないです!」
もともと赤くなっていたマヤの顔はさらに濃く染まる。
「え~、ただ一緒に景色を見ただけ? そんなことある?」
ハンジが口を尖らして不満を表す。
「ないと言いたいけど、最初のデートでいきなり抱き合ったりはないかも」
「恋愛小説だったら初デートでいきなり抱き合ってキスも全然ありですけどね」
ハンジ、ナナバ、ニファの会話を聞いていたペトラが、マヤに訊く。
「私はあの兵長が、いきなりそんなことをしてくるとは思えないわ。でも…、じゃあ丘で何をしたの? とはちょっと思うかも。景色なんか一瞬で見終わるよね?」
「あの丘…、故郷のクロルバの丘に少し似てるの。それで子供のころの思い出話を聞いてもらっただけよ」