第17章 壁外調査
「入っていいかい?」
「……あ? なんだ、気持ち悪ぃ。いつも無断でずかずかと、どこでも入ってくるくせに」
「だってさ」
ハンジは一歩部屋に入ると、後ろ手に扉を閉めた。
「せっかくリヴァイのまじないが効いてマヤとラブラブに手なんか握っちゃってんのに、邪魔しちゃ悪いだろ?」
それを聞いたマヤは赤くなっていた顔をさらに耳まで真っ赤にし、リヴァイは瞬時に手を離した。
「そういうんじゃねぇ」
「別に握ったままでいいのに~」
うししと笑うハンジを睨みつける。
「黙れ。大体まじないとかラブラブとか訳のわかんねぇ単語ばかり並べやがって…。頭がおかしいんじゃねぇか、お前は」
「照れなくていいから! リヴァイがマヤの手を握りたいのは、ほら~ いつだったっけ、給湯室で握ってたあの日から私はよ~く知ってるんだからさ!」
「おい、いい加減にしろ。いつだって俺は別に…」
何か反論しかけたリヴァイを無視してハンジはずいっとマヤに近寄った。
「マヤ! どうだい、気分は?」
ハンジのあけすけな発言に顔を赤らめていたマヤだが、慌てて答える。
「大丈夫です。……ちょっと、ぼうっとしてますけど」
「そうか~、良かった!」
ぱしっと自身の胸の前で手を組むと、ハンジは心底嬉しそうな顔をしてみせた。
「いや~、マヤが目を覚まさないから心配で心配で」
「ハッ、どうだか。そもそも… てめぇのせいだろうが」
つぶやくリヴァイの方を振り向きもせずに、マヤだけを見ながらハンジはつづける。
「そうだ、そこに異存はないよ。マヤ、危ない目に遭わせてすまなかったね。このとおりだ」
深々と頭を下げたハンジに、慌てふためいたのはマヤだ。
「ハンジさん! 頭を上げてください!」