第30章 映る
そんな心の声が勝るとき脳裏に浮かんでくるのは、今まで見たことのないようなマヤの乱れた姿。
独りで兵舎の自室にいる眠れない長い夜には、必ずその妄想上のなまめかしいマヤが誘ってくる。
………。
リヴァイは苦悩していた、ずっと。
初心なマヤを大切にしたいと心から思う反面、早く大人の関係に突き進みたい衝動に駆られて。
「……私、その…」
困ったような顔でさっきから全然意味のあることを言えずに、ただ瞳を潤ませ艶やかに光るくちびるをぱくぱくさせているマヤを、リヴァイはあらためて力強く抱きしめる。
そうすることで自身の心に浮かんだ強い欲情を打ち消すかのように。
「……好きだ、マヤ。今すぐ俺のものにしたい…」
「……そんな… 急に…」
「急じゃねぇ、ずっと思っていた。だが…」
リヴァイは腕の中のマヤが急な展開についていけず戸惑っているのを敏感に感じ取っている。
「無理はさせたくねぇとも思っていた。マヤはどうなんだ…?」
……チッ、こんなことを馬鹿正直に訊くなんてクソすぎる。
リヴァイは自身の行動に嫌気がさしながらも、マヤの気持ちを優先させるにはこれしかないと判断した。
「私は…」
マヤはどうすればいいかわからないながらも、本能的に決断した。素直な気持ちを伝えることが何よりも大切だと。
だからリヴァイの顔をまっすぐに見上げて。
「兵長のことがすごく好きで…、こうやってそばにいるだけで胸がどきどきして…。もう、どうなってもかまわないって思っちゃうから…」
「マヤ…」
リヴァイは熱いささやきをマヤの耳元でこぼすと、再びくちびるを押し当てた。
“どうなってもかまわない” なんてマヤの言葉を聞いてしまえば、理性より欲情が勝ってしまう。
「ふうっ、へ、兵長…!」
「もう我慢しねぇ…」
リヴァイの熱く滾った舌が強引にマヤのくちびるを割って入ってきた。マヤの舌をやすやすと捕らえて絡み取ると、甘い痛みが走るまで強く激しく吸い上げる。
「んん…! っふ、はぁ…」