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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第27章 翔ぶ


「マヤ、話が長くなったが…。もう充分にわかったね? 君は自由なんだ。落ち着いて考えなさい」

「……了解です」

マヤはもう、涙声ではなかった。

エルヴィンとミケの話で、寄付金に囚われなくてもいいということは十二分にわかったからだ。

「レイモンド卿にはいつ返事をすることになっている?」

「五日後です」

「では、その日までは通常の訓練に戻るように。……今日は疲れただろう? ゆっくり休みたまえ」

「了解です」

マヤは敬礼をすると、ミケにも頭を下げて団長室を出ていった。

……どうせマヤは断るだろうに。

「……五日か…。長いな」

とミケがつぶやけば、

……今のところ、五分五分。マヤは感情だけで先走ることはない。

「あぁ、千々に乱れる五日になるだろうな」

とエルヴィンが返した。

「明日から通常どおりか。ならば執務の補佐も復活だな…、マヤの不在で困っていたんだ」

ミケは独り言とともに立ち上がると、そのまま退室した。

団長室に一人になったエルヴィンは。

「血相を変えてやってくるだろうな…、恐らく今日中に」

やれやれと首を振って、

「それまでに少しでも片づけておくか…」

机上の書類に目を落とした。





団長室を出たマヤは食堂に行きかけたがやめて、自室に戻った。

「……はぁ…」

どうにもこうにも食欲がない。ため息が出る。

そしてベッドの上に置きっぱなしになっている特大の花束。

それを目にしてもう一度。

「……はぁ…」

もう飾る場所もない。

最初の方にもらった薔薇の元気がない。

……少しもったいないけれど、これを捨てて。

段取りを考えて、とりあえずは花瓶の水換えをしようと廊下に出たところで名を呼ばれた。

「マヤ~!」

見れば廊下の向こうからペトラが走ってくる。


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