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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第12章 心づく


同じころ、夜空の月を見上げている男がいた。

……眠れねぇ…。

もともと眠りは浅い方ではあるが、この夜はまんじりともせずに月を見上げている。

青白い月の光は、彼女の白い肌を彷彿とさせた。

その白い肌を思い浮かべるとき、風になびく濃い茶色の長い髪もリヴァイの心の中でその存在を主張する。

……恋をしたことがあるか…。

ミケの声が、頭の中で響く。

……恋をしたことがあるか…。

グラスの氷を見つめていたミケの瞳が、ガラス玉のように光る。

……俺も… そう思っていたのだがな…。

チッ… 一体なんだってんだ。

奴は… 恋をしたって言いたいのか。

それが俺に… なんの関係がある。

今度はエルドの声が聞こえてくる。

……兵長を慕っている女は大勢います…。

風になびく美しい髪がどんどん遠ざかる。

何人の女に慕われようが関係ない。

ただひとりの女が誰を慕っているかが… 大事なことなんじゃねぇのか…。

マヤ…。

お前は誰を想う。

……恋をしたことがあるか…。

ミケ… なのか?

マヤのなびく髪を追うようにして出ていったミケ。

……俺も… そう思っていたのだがな…。

リヴァイは、何時間か前に夜道でエルドに発したものと同じ言葉をつぶやいた。

「くだらねぇこと… 考えるな…」

あれはエルドに言ったと同時に、己に向けた言葉。

女なんて抱きたいときに抱ければいい。

ずっとそうだったし、これからもそうだ。

それなのに、振り払っても打ち消しても遠ざけようとしても… 何をしてもマヤの姿がまぶたに浮かぶ。

大きな青白い月を睨みつけていたリヴァイは、まぶたに焼きつくマヤの残像を削ぎ落とすように、軽く目をつぶり頭を振った。

……くだらねぇこと… 考えるな…。

リヴァイは心づく初めての想いに戸惑い、翻弄されていた。


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