• テキストサイズ

【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第26章 翡翠の誘惑


「……えっ」「ほんとですか? やったー!」

新しいドレスを仕立てたというレイの話を聞いたマヤとペトラの反応は、まるっきり違っていた。

戸惑っているマヤ、手放しに喜んでいるペトラ。

「……ちょっとマヤ! なに難しい顔してんのよ」

恐らくレイには丸聞こえではあるが、一応ささやき声のペトラ。

「だって…、あのときドレスは新しく仕立ててもらわなくていいって断ってるのに…」

マヤの顔はどこまでも浮かない。

「そんな堅苦しく考えなくてもいいじゃん! ねっ、レイさん?」

「確かにマヤには断られてはいるが、これはオレのわがままだ。許してくれねぇか」

そう言った次の瞬間、マヤの目の前で白銀の髪がさらさらと揺れた。

「頭を上げてください…!」

「……着てくれるか?」

「はい…。もう仕立ててあるんだもの…」

まだ少々戸惑っている様子のマヤの肩を、ペトラがばしっと叩いた。

「そうだよ、マヤ。もうドレスは作っちゃったんだから着るしかないよ! サイズだってうちらのサイズのドレスなんだしね」

「そうだね…」

ペトラの言っていることは真っ当だ。

自身の過去の言動にこだわるあまり、ドレスを新調してくれたレイに失礼な態度を取ってしまった。

大いに反省したマヤが、今度は頭を下げる番だ。

「ごめんなさい、レイさん。せっかく作ってくださったのに…」

「いや、オレの方こそあのとき、断るお前に “わかった、軍服で来てくれ” と言いつつドレスは作る気でいたんだ。だましたのと同じだ。すまねぇ」

レイも再び頭を下げる。

目の前で銀色と鳶色の髪がさらさらと音を立てる勢いで頭を下げ合う二人を見て、ペトラが笑い飛ばした。

「もうやだ、二人とも! 謝るの終わり! キリがないよ」

それまで黙っていたオルオも言い添える。

「そうだな、レイさんはドレスを作った。それをマヤとペトラがありがたく着る! それでいいんじゃね?」

「うん、わかった。そうする」

マヤは友二人ににっこりと微笑むと、あらためてレイに向き合う。

「レイさん、ありがとうございます。ドレス…、着ますね!」

その笑顔にはもう当惑や遠慮はなく、新しいドレスへの少女らしい喜びと期待に満ちていた。


/ 1873ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp