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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第26章 翡翠の誘惑


バルネフェルト家のミュージアム。

それは筆頭公爵であるバルネフェルト家の膨大な数の所有品を展示保管している。それだけの用途のために建てられた屋敷だ。

貴金属や宝石などの貴重品から、刀剣や鎧などの武具、職人の手作りの家具や食器にいたるまで、その収蔵品の種類の豊富さには目をみはるものがある。

マヤとペトラは、その存在を知ったときから憧れて、是非とも行ってみたいものだと話していたのだ。

手を取り合って歓声を上げている二人を見て、レイも嬉しそうだ。

「そんなに期待していたのか。なら良かった。……こっちだ」

くるりと背を向け、玄関ホールから屋敷の奥に通じる廊下を行く。

床は玄関からずっと白い大理石が使われている。ぴかぴかに磨き上げられた大理石は、窓からの光を反射して美しい。

最初に通してもらった部屋… というよりは大広間と呼ぶにふさわしい大きな部屋には、たくさんの家具が飾られていた。

「ここは “家具の間” だ」

コツコツと大理石に足音を響かせながらレイは、ゆったりとした空間に余裕をもって配置されている家具のあいだを歩きながら、マヤたちに簡単な説明をする。

「ここにあるものは、すべてデッペンチールのものだ」

「デッペン…?」「……チール?」

ペトラとオルオが顔を見合わせている。

デッペンチールといえば、フリッツ王家御用達の超一流家具職人として高名なのであるが、そんな高貴な世界の事情など全く知らないマヤたちには、なんの意味もない名前と化す。

しかしデッペンチールの名は知らなくても、その家具の優美さ、類を見ないデザイン、漂う気品と風格は容易に感じ取ることができた。

飾り棚にサイドボード、小物用のキャビネット。ダイニングテーブルのセットにソファ。優美なフォルムと背の透かし彫りが美しい椅子。

「……すごい。どれも優雅で品格があるわ…」

マヤがつぶやけば、ペトラも大きくうなずく。

「だね! こんな家具に囲まれて暮らしたら、お姫様になれそう!」

“家具の間” を一通り見たあとは、隣接する大広間へ。

そこは “食の間” だった。

食卓に関連するもの… 食器やカトラリーに始まり、調理器具からテーブルクロスや花瓶にいたるまで…、食事に関する道具、器具、卓上装飾品が実際の食卓のレイアウトで配置されている。


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