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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第26章 翡翠の誘惑


「………」

耳をふさいでしまいたい内容のマーゴの言葉。

マヤは何か言わなければと思うが、なかなかこの場にふさわしいセリフが浮かんでこない。

……ジムさんが私にすももを食べさせたいとか、兵長と一緒に食堂に行かなかったからジムさんが期待してしまったとか。

兵長とお見合いしているみたいに見つめ合っていたとか。

だからジムさんが、すももを持ってこれなかったとか…。

もう恥ずかしくて、いたたまれない!

とにかくマーゴさんにはこれ以上、変なことは言ってもらわずに厨房に帰ってほしい。

マヤがその願いを実現させるべく、マーゴを体よく追い返す効果的な言葉を考えていると。

「……ジムとは料理人だよな?」

……兵長! お願いです、食いつかないで!

マーゴの話に興味を持ったらしいリヴァイの質問に、冷や汗が出てくるマヤ。

「あぁ、そうさ。あたしの甥っ子なんだけどね! なかなか腕のいい… あれだね、王都でいうところの “シェフ” さ!」

マーゴは得意げに片目をつぶってみせた。

「それでそのジムがマヤになんの用だ」

マーゴのウィンクなど全く意も介さず、リヴァイのしかめ面はつづく。

「やだよ、兵長! うちのジムは前々からマヤに “ほの字” なのさ。知らなかったのかい?」

マーゴも負けてはいない。不機嫌そうなリヴァイの様子など全く気にも留めずに楽しそうにしている。

「ハッ、聞いたことねぇな」

「まぁ、ああ見えてあの子は繊細なところがあるから…。あっ、料理人はね、意外と繊細なものなのさ! だからジムも恋心は秘めているからね、兵長が気づかないのも当然だよ」

前掛けのポケットに両手を突っこんで、豪快に笑ったマーゴをじろりと睨む。

「ほぅ…。確かに料理人とやらは繊細にできているらしいな」

……兵長!

リヴァイの皮肉たっぷりな言いまわしに、マヤはひとり冷や冷やしている。


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