ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第10章 檻の中のLynx
カシャッ
音のした方に目を向けるとショーターはこちらにスマホを向けていた。
「…キミ、今のを撮ってたのか?」
「ああ。浮気の証拠をな。」
そう言ってこちらに撮った数枚の写真をスライドして見せてくる。
そこに写っているのは、目を瞑ってキスを待つ私と顔を赤くしながらも真剣な顔で私に顔を近付けキスをしようとするエイジ……にしか見えないものだった。
「…うわあ!ダメだ、角度に悪意があるよ!これは本当に誤解を招くような写真だよ!!今すぐ消して!」
「俺は目の前の光景を撮っただけだからな!1分前の自分を恨むんだな!」
「……絶対アッシュに見せるなよ。」
「さあ、それはどーだか。」
「キミだってさっきキスしようとしてたよね?」
「さあ、証拠がねーなぁ。」
…そんなのアッシュが見たって、なんとも思わないに決まってるのに。
私はそのやり取りを軽く聞きながら、自分の指に唾をつけて頬の傷に塗った。