ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第29章 Perfect Crime
『!』
「…ただし、」
アッシュはそう言って私の目をじっと見つめた。
「お前が死にそうになったら、俺は死んでもお前を助ける」
『……っ!』
「誰にもお前を殺させない、俺はお前を死なせない」
ドクン、と勢いよく心臓がはねた。
尚も射抜くように見つめてくるアッシュの視線に、私は何かを言葉にしなければとパクパク口を動かした。
『…ぁ……え、』
嬉しさと恥ずかしさにぎゅうっと胸が締め付けられる。
「いいな?」
『…そ、んな…そしたら意味、ないじゃん…』
「っはは、…だな」
歯を出して笑うアッシュに私の心臓はおかしいくらいに鼓動して、自分がいかに目の前の人を愛しているかを思い知らされた。
「なあ、ユウコ」
『うん?』
「俺はこの先、必ずオーサーとやり合うことになる」
『……』
「それでもお前は戦えるか?」
『…うん、それなら尚更隠れていられない。私にも戦わせて』
「お前ならそう言うと思った」
ふっと笑みを浮かべたアッシュは一瞬で真剣な表情に戻った。
「いいか?…これから本当の作戦をお前に話す、まずは…」
アッシュはその後の動きを私に全て話してくれた。
「無理だと少しでも感じる作戦からは外れていい。ここから俺は躊躇せずに撃つ、例え相手が無抵抗であったとしても」
『無理なんてないよ、私だって自分の身が危険になればきっと撃つし、敵となる相手に容赦しないのは“先生”から教わったことだもんね』
「…先生、ね」
アッシュはボソリと呟いた。
「…とにかく、まずはオーサーに俺が動き出していることを悟らせる。段々と周りのヤツを絞めて、嫌でも俺を脳裏に呼び起こさせるんだ。他のグループのヤツもこのままオーサーと手を組んでいれば次は自分たちも…と怖気付いて逃げ出すだろう」
『想像するに容易いね、束になったってアッシュには敵わないってきっと分かってるんだよ』
「…くだらない」
『ねえアッシュ、』
「うん?」
『話してくれて…私を作戦に入れてくれて、ありがとう』
「…ああ」
コンコン、
ガチャ
「アッシュ、アレックスが呼んでるよ」
「ああ、今行く」
お前も、と言うアッシュの目線に私は頷き後に続いて部屋を出た。