ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第10章 檻の中のLynx
「ちくしょう…大丈夫か、おい。」
「え…ええ、なんとか…」
エイジとショーターが起き上がる。
「ユウコ!バカお前!頭ぶち抜かれるところだったんだぞ!!」
『…そのつもりだったんだよっ!!!』
「お前、なんで…」
あまりの迫力に眉を寄せて私の顔をのぞき込むショーターの視線を振り切って、グリフの元に駆け寄る。
『グリフ、グリフ!!ドクター!!』
「ああ…死なせるもんか!せっかく正気に…、何かを思い出したんだ…!」
ドクターは応急手当を施している。
「これで少し読めてきだぜ…死ぬなよグリフ。お前のためにも、弟やユウコのためにも…」
「?」
「なんだ?なんのことだよ、こいつ一体だれなんだ?」
「アッシュの実の兄貴だ。」
「えぇっ!?」
「な、なんだって!?…それでユウコは。」
私はグリフの手を強く握る。
『グリフ…お願い…っ、アスランを悲しませないで…』
「…ユウコ。」
エイジが私のとなりにしゃがんで肩をそっと支えてくれる。
「アッシュの実のお兄さんか、知らなかったな。…確かによく似てる。」
程なくしてドクターの知り合いの車が到着し、グリフを乗せて行ってしまった。
ついて行くと言ったらショーターは、今出歩くのは危険だと離してくれなかった。