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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第10章 檻の中のLynx


エイジが隣の部屋から出て行ったのが聞こえた。
…私も支度しよう。

私はその日ドクターメレディスの診療所に来ていた。

「Hi.ユウコ、久しぶりじゃあないか。」
『Hi.ドクター。最近色々あって…だいぶ久しぶりになっちゃったね。』
「…ああ、大体は耳に入ってるよ。」

私はカーテンで仕切られた部屋に入る。
そして車椅子の前に膝をつき彼の手を握る。

『グリフ、なかなか来れなくてごめんなさい。』

「………………」

『変わりなさそうで、とりあえず良かった。発作起きたりしてない?…アスランは事情があってまだもう少し来れないけど、きっとまた一緒に来るから。安心してね?』

「……………」

『そうだ、グリフ聞いて?…アスランが私の名前、佐藤優子って…書けるんだって。一度しか漢字を見てないのに…私だって何度も何度も練習してやっと書けるようになったのに、アスランはやっぱりすごいね…。』



次の瞬間、診療所の扉をドカッと勢いよく開けられる音がした。



『…!?……なに。』

私は息を潜めて、カーテンの向こうに意識を集中させた。

「誰だお前は!!!」
「…あまりでけぇ声を上げるなよ」

「きゃ、きゃーー!!」
「聞こえなかったか?でけぇ声を出すな。…しばらくここで待たせてもらう。」



…この声…オーサー?
何故彼がここに?まさかつけられてた!?
…いや、私を探してるような音はしない。
私の存在には気付いてない。

私はグリフの手を握り、その場で小さくなっていた。

カチャカチャと銃の弾を確認するような音が聞こえる。
これから誰かがここに来るっていうの?


それから10分ほど経った時のこと。
ノックが聞こえたかと思うと…

「すみません、ちょっとーーお聞きしたいこと…が…」


『…!!』

エ、エイジ…!?
どうしてエイジがここに?!

「待ってたぜ、サムライボーイ」

オーサーが待ってたのはエイジだっていうの…?



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