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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第10章 檻の中のLynx


《英二side》

トイレの個室に入り鍵を締め、口の中からソレを出すと…カプセルだった。中に何か入っている。

メモ…?


《英二 見はられているのでこんな方法しかとれなかった チャイナ・タウン45番地 「張大」という店に行って ショーター・ウォンという男に会って伝えてほしい オレの名を出せば会えるはずだ Dr.メレディスからオレが預けたものを受けとって安全な場所にかくしてほしいと チャイナタウンへ目立たず入りこめるのは東洋人だけなので危険を承知でおまえに頼む くれぐれも気をつけろ!このことはだれにも知らせるな》


…ショーター・ウォン?


外から伊部さんの声がする。
返事をして外に出た。

「英ちゃん、あんまり気にすんなよ」
「え?」
「だからさあ、アメリカ人にとってキスなんて挨拶みたいなモンだからさ」

僕は先ほどのキスを思い出した。
思わず顔が赤くなる。

やむを得ない事情とはいえ、何をしてくれたんだ!



アパートに戻ると、今度はユウコが僕らの部屋のドアの前にいた。

「ユウコ!」
『…あっ!おかえりなさい!』

「英ちゃん、話してきたら?」
「はい、ユウコ、部屋いいかな?」

『うん、もちろん!』

僕らは部屋に入った。
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