ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第10章 檻の中のLynx
《アッシュside》
「…俺だって会いてェよ。今すぐ。」
そう無意識に口から零れた。
ハッとして2人を見ると、口元に手をあて顔を赤くしていた。
「…バッ…!今のは絶対ユウコに言うなよ、いいか?絶対にだ!」
「なんでだい?アッシュがそう言っていたと言えば、ユウコは大喜びすると思うんだがね。」
「そうだよ!キミがそんなに愛おしそうに言っていたなんて知ったら、きっと泣いちゃうよ!」
「…そういえば、あいつここに来たんだって?」
「あぁ、アッシュがまだここにくる前にな。」
「その、…泣いてた、って聞いて。」
「うん、ロボさんにキミを守ってほしいと話していた時にね。…キミが今どういう状況にあるかも分からず、きっととても不安だったんだよ。…彼女を泣かせるのはいつもキミだ。」
そう言うエイジは優しい目をしていた。
「……やっぱりあいつに伝えてくれ。」
「なにを?」
「…俺も会いたいって。」
「……今すぐ、って付けなくていいの?」
「〜〜ッ!…るせぇなァ!」
「おーい!そろそろ行くぞ!」
チャーリーが声をかけた。
「…じゃあ、元気で。大丈夫、すぐ出られるよ。」
「ああ」
俺はポケットのカプセルを、あくびするフリをして口の中に放り込んだ。
…よし。
俺はエイジに近付き、肩を抱く。
周りから見ても“それっぽく”見えるように。
「今日は来てくれて嬉しかったぜ…エイジ。」
「え?あ、ああ…」
さらに目を見つめながら、髪を梳くように撫でる。
ビクっとするエイジの耳を指で触れ、
「…今度はひとりで来いよ…な?」
「それってどういう……」
顔を近付けキスをする。
「っ!………………」
「……………………」
エイジの閉じた唇を舌で割る。
そしてカプセルをエイジの舌の上にバトンを渡すかのように絡める。
「……………っ!?…」
「……………んっ…」
ゆっくり唇を離し、至近距離で3秒ほど見つめ合う。
目で“頼んだぞ”と訴えると、エイジも応えるような目をした。
「じゃあな…Sweet♡」
そう言ってエイジの尻を掴みウィンクをして部屋を出た。
あとはエイジ……お前に任せたぜ。