ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第10章 檻の中のLynx
《アッシュside》
看守に連れられ俺たちは面会ホールにきた。
扉を開けると、
「…あ!アーッシュ!こっち!」
いつも通りの笑顔を向けてエイジが俺を呼んだ。
「よく来てくれたな、エイジ。」
「きみが会いたいって言ってるって聞いた時嬉しかったよ。僕のせいでスキップがあんなことになっちゃったし…嫌われちゃってるんじゃないかと思ってた。」
「バカだな、お前のせいじゃないっつったろ?日本人っておっかしなこと考えるな」
「え…そう?」
「そーさぁ、お前考えすぎなんだよ。そうだ…イベさん、あんたまだ写真とってんだって?俺の仲間がどうしてるかきかない?」
「…あぁ、実は危なくてこっちも近寄れない状態なんだ。ユウコが一度リンクスのメンバーに会いに行ったが、全員がいたわけじゃなくて…彼らの一部は秩序がめちゃくちゃらしい。」
「なるほど…」
ユウコ、か。
話が出た時のエイジの表情に変わりはなかった。
「……ユウコは、どうしてる?」
「うん、彼女もなんとかやってるよ。今は僕たちの隣の部屋に寝泊まりしてる。だから安心して。」
隣の部屋で寝泊まりって…
「安心ねぇ…」
「アッシュ?…どうかした?」
「いや、なんでもない。」
「あ!そうだ、ユウコが早く会いたいって!」
「え、俺に?」
「当たり前じゃないか!他に誰がいるんだよ。」
…お前、
と浮かんで、馬鹿らしくなって顔を手のひらで覆う。
やめよう。今は作戦を全うしなければ。
これが失敗すれば俺はもちろん、エイジも危険だ。
「ユウコが、アッシュが会いたいのは僕だけみたいだ…って寂しそうにしてたよ?」
あいつはバカか…。