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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第10章 檻の中のLynx


《アッシュside》

「今日は面会かァ〜!外からわざわざ会いに来てくれるってなんか嬉しいよな!そういや、お前あの日本人の友達が会いにくるんだって?」

「…あぁ。」

「そうか〜、いやぁそれにしてもあいつ羨ましいもんだぜ!あんなに可愛い彼女がいてよォ!昼間は大人しい羊も夜は狼になっちまうんかな!?…毎日ちゅっちゅしてんだぜ、きっと。」

「…何の話だ?」

「え、お前の友達だよ!…前に話したろ?お前が来る前にチャーリーたちが話に来たって。その時に日本人カップルもいたんだよ。」


日本人ってことは、エイジとユウコだよな…。


「は?カップルって、ただの男女ってだけだろ?いやだね、これだからオッサンは…」

「いや?確かにカップルだったぜ?俺が来る前にライアン達も面会ホールにいたけど、かわい子ちゃんに声掛けたら彼氏が怒って皆の前でアツいハグして『She is mine』って。すげぇ睨まれたらしいぜ。帰る時手ェ繋いでるの俺も見たしなぁ…、あっ!もう一個思い出した!…話の途中でその彼女泣きだしたんだけど「ユウコ、泣かないで…」とか言って手を握りながら頭撫でちゃってよぉ〜!!見せつけやがって!」


なんだって?

皆の前でアツいハグ?

“She is mine”だ…?
あいつがユウコを自分のものだって言ったのか?


誰かと勘違い…
いや、オッサンはユウコって言ったよな…。

だめだ、頭にクエスチョンマークしか浮かばねえ。

その前にユウコもこの場所にきたってことか。



「…おい、アッシュ?どうした?」

「………いや。」


話がまるで頭に入ってこねぇぞ

あいつが泣いたって…なんで…




「おっ!時間だぜ!」


俺はモヤモヤする頭で、犠牲を払って手に入れた“小道具”の存在をポケットに確認して部屋を出た。



俺がこれを手に入れるためにあんな目に遭っている間、お前はエイジとイイ関係になってました、って…そんなの何かの冗談だよな?

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