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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第2章 ナイトメアのはじまり



やっと見つけた…
良かった、また会えた。

その安心感から泣きそうになるけど、目的は遠くから姿を見ることじゃない。話をすることだ。


『…アス』


アスランと呼ぼうとした時、家の玄関から男が出てきた。


『あの男の人……』


記憶を必死で辿る。


『…野球のコーチ?』


そう、家の中から出てきてアスランの肩に腕を回しの中に招き入れたのはアスランがよく話してくれた野球のコーチだった。練習や試合を見に行った時にいたから覚えていた。


なんでコーチの家にアスランが?


不思議に思って静かに家に近づく。
様子を伺っていると、厚手のカーテンは開いてるもののレースのカーテンは閉じているので外からハッキリ見えるわけではないが注視すれば見える部屋に2人が入ったのが見えた。
その部屋の窓に近付きバレないように覗き込む。

会話をしている様子もなく、異様な光景だった。

するとコーチは突然、乱暴にアスランをベッドに押しやった。


『…っ!?』


そしてアスランの上に跨ると着ていた白いワイシャツのボタンを飛び散らせながら力任せに引き裂いた。
それでも何も言わず全く無抵抗のアスランは男に顔を強く掴まれ唇を舐められる。閉じたアスランの唇を男の舌が割って吐き気のするようなキスを繰り返す。


目を疑った。
私のよく知るアスランがコーチの男に襲われている。

夢だ、こんなの悪い夢だ。

しかし窓越しに伝わる男の荒い興奮した息遣いや、眉を顰めながらも必死で耐えているように見えるアスランを見るとこれは現実に起きていることだと真実をひどく突きつけられる。


アスランのズボンのベルトに手がかかる


助けなくては…
このままではアスランが!
大人は近くにいないか?

そう思って体を動かした時、すぐ隣にあった木にぶつかり揺れた枝が窓にコツンと当たってしまった


「っ!?誰かいるのか!?」


焦ったような大きな声と共に窓に近づいてくる男。
恐怖ですっかり足がすくみ全く動けない。


バッと窓が開いたと思うと男は私の両目をその目に捉え、安心したようにニヤリと笑った。


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