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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第2章 ナイトメアのはじまり



次の日の夕方、
公園でアスランを待った。


《会いたくない》


そんな彼の言葉に心が揺らぎ、
涙が出そうになるが左右に首を振る。


『…大丈夫、大丈夫。』


そんな言葉を何度も呟きブランコに座るが、一向に現れる気配はない。

でもパパは言った。
大丈夫だと。


絶対今日話さなきゃいけない。
そうしなきゃもう永遠に会えない気がしたから。

昨日ここに確かにいた。
アスランの温もりを辿るように、いつもアスランの座っていたブランコを指でなぞる。



よし、行こう。




ーーコンコンコン



「なんだ、ユウコか、どうした?」

アスランの家を訪ねるとアスランのパパが出た。

『アスランのパパ、私アスランに会いたいの』


アスランのパパは少し複雑そうな顔をして、

「あいつなら家にいねぇ…」

と言った。続けて、

「ユウコ、あいつにはもう会わねぇ方がいい」


何故アスランのパパまでがそんなことを言うのか全く理解が出来なかった。



家を飛び出るようにして、広い土地を走り回った。
どんなに探し回っても見つからず
もうここしかない…と私は野球チームが練習をしている場所へ向かった。





見渡しても、美しい金髪は目に入らない。



『…アスラン…』


「おーい!ユウコ!」

アスランと同じ野球チームの子が話しかけてきた。

『アスランはどこ?私アスランに会いたいの』

「アッシュ?あいつ最近見てないよ」

『え?』

あんなに夢中になってたはずなのに

「そんなことよりさ、ユウコもキャッチボールしない?今日コーチいないんだ……えっ、おい、ユウコ!」





無意識に走り出していた。


ここじゃないならどこ?
公園にもこなかった。
家にもいなかった。




野球の練習場から走り回って、10分ほど。



『どこ…っ…アスラン…っ』

息が上がって苦しい。
少し休もうと、近くにあった岩に腰掛ける。

ガムシャラに走ってきて、ようやく少し冷静になる。

ここはどこだ?

自分がどこまで来たのか分からなくなってしまった。


どうしよう…
私の家はどっちだろう…

ここで初めてキョロキョロと辺りを見回してみる


…と




近くの家の玄関へ向かって歩く少年が目に入った。



いた



…見つけた。

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