ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第10章 檻の中のLynx
《アッシュside》
「………」
あれを持ってちゃ危ない。
ドクターメレディス…あそこにはグリフィンもいる。
もしディノに気付かれたら…
早く別の安全な場所に移さなければ…
でもどうやってドクターに知らせる?
ここにはヤツの息のかかった連中がゴマンといるんだ。
向こうが仕掛けてこない限り、誰がスパイなのかも分からない。
「くそぅ…」
足音がして俺はそちらに目を向ける。
「!」
「小僧、この間はよくもやってくれたな」
「………」
「…ちょっと付き合えよ?」
「看守から大人しくしろと言われてる。」
「悪いようにはしねぇからよ、なァ?」
「……あぁ。」
今後何をするンにも“小道具”は必要だ。
もし上手く行けばアレを手に入れられる。
何もかも、勝つためだ。
勝つための少々の犠牲は厭わない。
俺はヤツらの後ろを着いて歩くと図書室に押し込まれた。