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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第29章 Perfect Crime


《アッシュside》


「ここのスコーンが美味いんだよなあ、俺好物なんだ」

「ダイエットペプシとブルー・ポイントを1/2ダース、あとボストン・クラムチャウダーを」

「なに?それっぽっちしか食わんのか?メインは?」

「太りたくない」

「…っ!」

「気にせず豚のように食えよ、父さん」

「あーあ、食うとも!スタイルのいいお前はウサギのように菜っぱでも食ってろ!俺は500gステーキを豚のように食うぞ!」





嬉しそうにスコーンを頬張るおっさんを見ながら、俺はコーラを飲んだ。


「そういや…お前、話ってのは?」

「ああ、さっき言ったように今いるところはヤバいんだ。いずれ見つけ出される」

「エイジの身が心配なら、なぜ俺たちのとこへ帰さない?」

「……俺といる方が安全だ、あんたらいざって時あいつの面倒みられるのか?」

「…まあそういうことにしとこうか…で?頼みってのはなんだ?」

「59丁目にマンションを買ったんでその本契約に行ってもらいたいのさ」

「何ィ?買ったぁ?ユウコとの愛の巣ってか?」

「…るせえよ」

「おい…冗談じゃあねえのか?」

「まさか俺が契約に行くわけにいかないだろ?俺は“子ども”だからな」

「か、買ったってお前…そんな金どこに」

「大したことじゃない、不動産屋の安コンピューターに侵入しただけさ」

「な、なんだと?お前また何かやったのか!?」



「ーーやったのはそれだけじゃない」




「なっ…何をしたんだ……」

「情報操作さ。主な証券会社のコンピューターにニセの情報を流したんだ。コルシカ人財団のアメリカでの経済母体、M&Cカンパニー…その系列会社でディノ・ゴルツィネが取締役を務めるウエブスター・エコム社に近く計画倒産の動きがあると…」

「……」

「パナマ・バハマ・ケイマン諸島などいわゆるタックス・ヘイブンの国々に“財団”が現地法人として持つ5つの会社がありそれぞれの頭文字をとって“GOOSE”という…だがこれらは実際には存在しない。全てペーパーカンパニー、実態のない偽会社だ。マルコスが使った手さ、利益を分散し租税を誤魔化す。財団はこんなペーパーカンパニーをいくつも持っていて“GOOSE”はその中で最大規模のもの…裏利益はざっと5000万ドル



ーーそいつをそっくりいただいた」


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