ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第28章 殺人鬼の涙
《アッシュside》
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「……ッぁ……あ!」
飛び起きて、酷い汗と荒い呼吸に頭を抱えた。
自分の心臓がこれでもかという程に激しく動いて、薄い皮膚を跳ねさせる。
「…っ、は…ぁ」
ふと隣のベッドで眠るエイジが目に入って、起こしちゃいないか不安になった。いつも通りのことなのに、何故かこいつに知られたら何かが変わるような気がして怖かった。ずっと堰き止めてきた何かが崩れてしまうような、そんな気がして。
「…………」
そうだ…あいつの顔を見にいこう。
そうすればいつも通りだ。
俺はゆっくりと起き上がった。
汗で重みのあるシャツが張り付いて不快だ。
ベッドの下のスリッパを履いて極力を音を立てないように部屋を出た。